日常の中から生まれた風景や感情を音で綴った、関口ノブコの処女作。ピアノと歌だけというシンプルなスタイルで切り取られた彼女の日常の断片は、ときに静かで、ときに燃えさかる内なる炎でダイレクトに聴く人の心をわしづかみにする。
目をつぶって聴くと、聞こえない、見えないはずのさまざまな「音」や「風景」が自分の中でどんどん補完されていく。独特なコード感とボイシングは、「女性ピアノ弾き語り」=「癒し系」というステレオタイプの枠には決して収まらない。さまざまなエッセンスに溢れた「音響系弾き語り」とでも表現すればいいだろうか。繊細な音でリミックスされた最後のボーナストラックも白眉。(津田大介) |